ロータリーの友 2017年7月号
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平成29年 7月号ロータリーの友15さんは2011-12年度にガバナーとなりました。二人はできるだけ互いに、どちらかが関係するイベントには出席しました。6月まで同地区のガバナーだったキャロル・ロートン氏は、「二人は互いによく支え合っていましたが、それでいて自立していました」と言います。  しかし、それは二人のスケジュールがシンプルで、都合がつけやすかったという意味ではありません。「二人の予定が重なって、別の会合に出席することもよくありました」と、リチャーズ氏。「私たちはいつも、『イアン、ジュリエットは君がこっちに来ていると知っていたのかい?』、『ジュリエット、イアンは君がこっちに来ていると知っていたのかい?』と、からかったものです」写真右ページ:(上)ヤギのルルにエサをやるジュリエットさんとイアンさん(右下)ライズリー夫妻の庭にある自慢の果樹。(左下)子どものアンドリューさんとジルさんの古い写真を見せるイアンさんオーストラリア有数のワインの産地の真ん中にある小さな町、ムールダーダックにあるライズリー家を夕方訪ねると、家族が庭を案内してくれました。ジュリエットさんの口からはさまざまな種類の花の名前が次から次へと出てきます。果物の木もあり、どこからか迷い込んできたヤギのビンダとルルがいます。「な、名前なんてつけてませんから」と、イアンさんはあわてて言い訳します。ヤギの文句を言いつつも、実は気に入っているのが誰の目にも明らかです。二匹にやたらと木をかじる習性があるにもかかわらず。 夕方になると、イアンさんとジュリエットさんは友人たちとデッキに座り、ワインを楽しみます。この地域にはワイン用のブドウ園がたくさんあり、大抵のワインは地元で造られたものです。友人の一人、デビッド・ロイド氏は、近くにあるエルドリッジ・エステートを経営し、彼の造るピノ・ノワールやシャルドネは評判です。ただしライズリー夫妻は、ワインの知識があるというわけではなく、ワインラックには、安売り品のボトルとビンテージものの高級ワインが、一緒くたに置いてあります。 二人には、面白い話をしようとして、掛け合い漫才のような会話になる癖があります。相手の話につっこみを入れたり、大げさにしたり、互いに否定し合ったりします。「夫婦によくある話と言えば、結婚生活が長いと…」とジュリエットさんが切り出すと、イアンさんがすかさず、「互いに都合のいいことだけ覚えている」と口をはさみます。するとジュリエットさんが「本当にね。同じ出来事でも覚えている内容が違うんですよ。幸いなことに、違い過ぎることはないんですが」と続けます。  話題の多くは、子どもや孫のことです。娘のジルさんはメルボルンで、夫のスコットさん、二人の息子のウィル君とジャック君と暮らしています。彼女は企業の社会的責任の専門家で、ケンブリッジ大学の修士号を持っています。息子のアンドリューさんは弁護士で、その妻のブロンウィンさんとはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの大学院で出会いました。子どもはネーブさんとラクラン君の2人で、先日シンガポールからニュージーランドのウェリントンに引っ越してきました。  ジュリエットさんとイアンさんは人の話を聞くのも大好きです。長年の友人でロータリアンでもあるジェフ・ティクナー氏は、「イアンは人と会うといつも、相手の話を聞きたがります」と言います。「『久しぶりじゃないか。元気だった?』という調子で、会話が始まるのです」 友人や同僚が口をそろえて言うことは、ライズリー氏は聞き上手で、相談相手にぴったりだということです。「アイデアを思いついた人は、皆イアンに話します。理解してくれるからです」と言うのは、2016-17年度ハンプトンRC会長のヘレン・ワラッグ氏です。「もしそのアイデアに問題があれば、必ず指摘してくれます」 クレイトンRCのジョン・バーンズ氏は、何かあるたびにロータリアンたちがライズリー氏の助言を求めると言います。「例会では、たいてい誰かが『イアンの考えはどうだろう?』とか、『誰かイアンにこの話をしたか?』と聞きます。いつも賢明な助言をしてくれますからね」 バーンズ氏は、口こうがいれつ蓋裂や重度のやけどの患者の形成手術を専門とする非営利団体Interplastとの共同プロジェクトのアイデアについて、ライズリー氏に相談したことを思い出します。バーンズ氏がライズリー氏に持ち込んだのは、彼の言葉を借りれば「オーストラリアの全ロータリークラブから多額の資金を集めて、Interplastのプロジェクトに出資するという、非常識なまでに大胆な計画」でした。  当時、ライズリー氏はガバナーでしたが、たとえ懐疑的であっても、顔には出しませんでした。「たぶん彼は、私の夢を壊したくないと思

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